ぶっちー、

ハロー。
ゴールデンウィーク明けましておめでとうございます。

先日の神宮球場は楽しかったね。
久しぶりの野球観戦でテンション上がったと同時に、俺は「キャスティング」が好きなのだと再認識しました。
自分が輪の中心=ハブとなって、テーマやイベント内容に合わせて、自分的に最適なメンバーを揃えるという。
仲の良い友人たちを引き合わせて、ちょっとした化学反応が起きるのを見るのが楽しい。
たとえ自分は4回表で球場を後にしても、その後きっと皆でホームラン合戦に興奮してたんだろうな、とか想像するとニヤニヤできる。
ぶっちーがアルシャッドたちと晩御飯まで楽しんでいたと聞いて、俺、いい仕事したじゃん!という気分になれる。
次はぜひ、KLに行ってみて下さい。

さて、先のゴールデンウィークはアルシャッドたちの来日に加えて、もうひとつイベントがありました。
ご存じの通り、渋谷ヒカリエで行われたZINEのフリーマーケット的イベントに、halvish名義の作品を2つ出しました。
サブが主宰する「ZINE SALON」ブースで、出品させてもらいました。

自分の創作活動の記録として、あるいは備忘録として、ここに詳細を書き残しておきます。

出品のキッカケは、イベントの約1週間前に、ZINE SALONのグループLINEでイベントのことを知って、俺も作品を出してみたい!と思ったこと。
サブに相談したら、まだ間に合うとのことだったので、急いで作ることにしました。

最初に思い付いたのが、マレーシアに住んでいた頃にマレーシアで撮った写真を並べたフォトブック。

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去年書いた記事でもマレーシアの写真を一部紹介したけど、こんな感じの写真を並べて写真集を作りたいなって思った。
当時は初めてのミラーレスカメラを買ったばかりで、「露出」も「F値」も知らなかったけど、とにかく自分が心を動かされた人やモノや風景にレンズを向けて、優秀なオート機能に頼ってパシャパシャ撮ってました。
ぶっちーも言ってた通り、強烈に「撮りたいものがあった」んだね、当時は。
技術的には未熟なんだけど、当時撮った写真は今見ても「いい写真だなあ」って自分で思える。
俺はあの頃、確かに生きていた!心と身体が躍動していた!と感じられる。

文字だけの作品なら電子書籍でいいじゃん?と俺は基本的に思ってるんだけど、写真集となるとやっぱり、なるべく質の良いプリントで大きく見せたい!という気持ちもあって、それ故に「マレーシア写真集を紙で作る」というアイデアは以前から持っていたのね。
で、今がそのアイデアを形にするタイミングだ!と思ってサブに相談してみたら、すぐに簡単なレイアウトを作ってくれた上に印刷費用の見積もりも出してくれた(サブ、仕事速すぎ!)。
が、そこそこ良い紙でフルカラー、かつ結構なページ数となると、少部数でもまあまあいいお値段がするのね。
確実に売れて利益が出るならいいけど、そんな自信はないし、そもそも儲けることが目的ではないし、持ち出しのコストとしてはちょっと高いなあ、、と思って、このアイデアはひとまず封印。

代わりの案として考えたのが、今まさに執筆中の『大谷翔平の社会学』の断片を、ベータ版もしくはプロトタイプみたいな感じでリリースすること。
たとえば全7章のうち、ほぼ完成している1〜3章だけ出すとか、あるいは書き途中の原稿を「これはUnder constructionです」というエクスキューズを添えて出すとか。
まだ完パケには至ってない、サンプルのデモ音源みたいな感じで。
でも、書き途中の原稿を読み返してみると、やっぱり今出すのは何とも中途半端というか、自分が納得する形で世に出せる状態じゃないなと判断し、これも断念。
これまでの人生で最も時間をかけて書いている作品だから、ここで小出しにするよりも、しっかり完成させたものをバン!と世に出したい、その方が作品のパワーが増すはず、と思った。

さて、マレーシア写真集もダメ、大谷翔平もダメ、他に何かネタはあるか?と考えて思い至ったのが、約5年前に電子書籍として出版した『THE GREATEST HITS』を紙の本にするというアイデア。



再びサブに電話で相談したら、以前にKINDLE版を読んでくれていたサブは「うん、俺はそれがいいと最初から思ってたよ」とのこと。
むむ、そうかそうか、サブは最初から答えがわかっていたけど、作者である俺自身がそのアイデアにビビってくるまで待っていてくれたんだな、きっと。
そういえば某敏腕編集者のKさんが、ぶっちーの30歳バースデーメッセージに「編集者は待つのも仕事」と書いていたけど、これは名言だったな。
Kさんのメッセージ、今読み返しても素晴らしいので、ここに引用します。

有名無名を問わず、才能とはそれを信じる人々を分け隔てなく照らし、力を与えるものだと思います。

私は編集という仕事を通じて日々そのことを確認し、希望をもらっています。それがまた新たな可能性と向き合い続ける原動力になっています。

そう、編集者は待つのも仕事です。
無理に働きかけをせず、放っておいた方がいい書き手も少なからずいます。
辛抱強く待ち続けると、そのご褒美は素晴らしい原稿を最初に読む権利だったり、この上なく美味い酒だったり、上司のため息だったりします。

40歳の誕生日も、同じように祝わせてもらえることを心から願っています。

あなたのファンより

あなたのファンより、とな。

このメッセージを書いたとき、俺と同学年のKさんは29歳だったはずだけど、その歳でこんなことを書けるのはすごいな、大人だな、と今思う。
そして当時は「まだずっと先の話」という気がした40歳の誕生日が、数年後に迫っているという事実に時の流れの速さを感じる。
ぶっちー40歳の誕生日をどうやって祝うか、そろそろ考え始めないとな。

さて、話をZINEに戻すと。

これは後から思ったことだけど、俺は今回「ZINEを作りたい」というよりは「サブが生み出す世界に一人の創作者として関わりたい」というモチベーションが強かったので、できればサブが面白いと思ってくれる作品、サブが自信を持って人に勧めたり売ったりできる作品を提供したい、という気持ちがあったんだね。
先述の通りサブは、以前に電子書籍版の『THE GREATEST HITS』を読んで「これは面白い!」と言ってくれていたので、この作品をサブと一緒にZINE化するというのは、自然な成り行きだったように思う。

ZINE化に際して、俺は既存の原稿をちょっとだけ手直ししたのと、今回書き下ろしのボーナストラックをひとつ加えただけで、レイアウトや表紙・裏表紙の作成、データの入稿とかは全部サブがやってくれた。
電子書籍版は99円で売ってるけど(さっぱり売れてない)、ZINE化した『THE GREATEST HITS』の適正価格はサブが「1000円」と断言するので、サブを信じて1000円に設定。
部数は200部刷って、印刷費用はサブが折半してくれた。


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イベント当日にようやく手元に届いた作品を自分の目で見て、印象的だったのは「余白の多さ」。

ZINE、というか雑誌って一般的に、文字や写真やイラストをぎゅうぎゅうに詰め込んでいるものが多いけど、サブがデザインしてくれた『THE GREATEST HITS』は良い感じにスペースを無駄使いしていた。笑
例えて言うなら、詰め込もうと思えば1日に10件ミーティングの予定を入れられるけど、敢えて3件にとどめておく、みたいな。
詰め込まない主義、ゆとり精神、隙間を大事に、そんな感じ。
サブにLINEでそう伝えたら、サブからは「なんかキンドル版読んだ時に、あの間の取り方がはるくんっぽくてすごくいいなぁって思ったんだよね。それをそのまま残してみた感じ!」(原文ママ)と返事がきた。

流石や!

電子書籍は物理的な制約がないからページ数がいくら増えてもいいけど、紙の本はページが増えるほど重くなるし印刷費用もかかっちゃう。
でも「余白の多さ」こそがこの作品に備わった重要な価値というかエレガンスだとサブは見抜いて、それを敢えて残してくれたわけだね。
自分ひとりでは気付けない作品の価値をうまく引き出してくれたと思うし、それこそが編集者の仕事なんだろうな、きっと。

さて、そんなわけで『THE GREATEST HITS』は無事入稿して出品できたんだけど、入稿した翌日、調子に乗った俺は「やっぱりマレーシア写真集も作りたい!」と思い、以前に芽衣の写真アルバムを作ったときに(親バカですみません)お世話になった「しまうまプリント」という激安フォトブック作成サービスを使って、3部だけ作ってみることにしました。

写真のデータは既に手元にあるので、あとは取捨選択してLightroomでちょっとだけ加工して、いい感じにレイアウトしながら並べるだけ。
アルシャッドたちにプレゼントした本をぶっちーも見てくれたけど、スマホで見たら別にどうってことない写真でも、紙の見開きページでバン!と見せると、3倍くらい良い写真に見える気がするんだよね。笑
なので、基本は見開き1枚という贅沢なページ使いでバン!と見せつつ、ところどころ1ページに2枚、みたいなレイアウトにしてみました。

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で、神宮球場に行った日の朝、印刷された写真集がようやく家に3冊届いて、それをカバンに詰めて電車に乗って、電車の中で1冊開いて、立ちながら各ページに手書きでキャプションというかちょっとしたコメントを書いて少しストーリー性を高めてみた。

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ちょうど渋谷に着く頃に書き終えて、そのままヒカリエに直行して、手書きコメントを入れたばかりの1冊をサブに渡した。
1冊しか作れなかったから、最初は閲覧オンリーの非売品として置いてもらおうかと思ったんだけど、もし買いたいという稀有な人がいたらその人に持ってもらいたいなと思い直し、その場で2000円と値段を決めて売りに出し、俺はすぐさま恵比寿に向かった(遅刻したのはこの寄り道のせいです、テヘペロ)。


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1日限り、1点限りの出品となったこの写真集は結局売れなかったけど、つい最近クアラルンプールに行ったという女の子が手に取ってしばらく眺めたりしてくれたみたいで、後でサブからその話を聞いた俺は「マジか!その子に無料であげたい!」と思ったよね。
いや、別に女の子だから無料であげたくなったわけじゃないですよ、たぶん、きっとね。

ちなみに『THE GREATEST HITS』の方は、こんなの誰が買ってくれるのかな?って思ってたんだけど、ZINE SALONのスタッフの人たちが結構買ってくれたみたいで、わざわざ感想をLINEで送ってくれた人もいて嬉しかった。
その人には、せっかくだからこのブログも宣伝しておいたぜ。

さて、マレーシア写真集は今回「KL編」として作ったけど、実はKL以外の場所(ペナン島とかマラッカとか)で撮った写真の方が数は多くて、そのうち「マレーシア編(KL以外)」も作りたいなと思っている。
加えて、今回紙で作った写真集をKINDLE書籍化してみても面白いかな、とも思ったり。
アナログとデジタル、オフラインとオンライン、両輪で活動できると面白いなと今回思いました。


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イベントが行われた2日間はあまり時間がなくて、他の人の作品とか他のブースは全然見れなかったんだけど、ZINE SALONのブースで売られていた『ホンジュラスコーヒマガジン』というZINEを1冊買いました。
ホンジュラスの保健所で感染症・エイズ対策ボランティアをしていた岩水結子さんという人が、現地のコーヒー関係者や農園で働く子供たちを取材して作ったというZINEで、テーマに興味を持った。
写真と文章のバランスが良くて、かつ取材やリサーチをしっかりされていて(調査票を作ってアンケートしたりとか)、ニッチなテーマながら時代性を感じる内容で面白かった。
このZINEを買った2日後、たまたま二子玉川のフリーマーケットでホンジュラス産のコーヒー豆を見つけて、ついつい買ってしまった。


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ちなみにこのZINEを芽衣に見せたら、写真の男の子が保育園のクラスメイトに似ていたようで「〇〇くん!」と連呼していました。笑

一般的に、人が何かモノを買うときって、そのモノが持つ機能やブランドに対してお金を払うものだと思うけれど、たとえばZINEとかフリーマーケットとか旅先って、普段は買わないようなものをつい買ってしまったりするよね。
それはモノ自体に対する対価というより、例えば「その場にいた証」として買うとか、そこで発生したコミュニケーションに対してお金を払うとか、あるいは「(モノと金銭を)交換する」という行為自体に価値を見出していたりするんだろうな。
まだ貨幣がなく物々交換を行っていた時代から「経済」は立派に存在していたのであり、その本質は「交換」という行為そのものにあるのだ、というようなことを確かレヴィ=ストロースか誰かが言っていた(と内田樹が書いていた)気がする。

ふう。

ようやくコロナ禍が明けたとされるこのゴールデンウィークは、たとえば飛行機や新幹線に乗って旅行に出かけるみたいな「わかりやすい消費」はあまりしなかったけど、その代わりにZINEを作って売ったり買ったり、友達を集めて野球場に行ったり(最安チケットで)、アルシャッドたちに山ほどお土産をもらったり、雨の日は終日家に篭って新しいレシピに挑戦しながらご飯を作り置きしたり、大してお金を使わずして充実感ある時間を過ごすことができた気がします。
お調子者のアルシャッドは既に「俺たち3人(彼とぶっちーと俺)はベストフレンズだ」と言ってます。
村上のユニフォームを着たマレーシア人と一緒に遊んでくれてありがとう。笑

そうそう、話は変わるけど先月、札幌に行ってきて、ぶっちーが行きたいと言っていたモエレ沼公園にも仕事の合間に行ってきたよ。
その話はまた今度、気が向いたら書こうかなと思います。
気が向いたら、ね。

では、今日も良い1日を!



Stay chilled.

2023.5.9
はる