ぶっちー、

ナマステー。
4月ですね。
ICU入学から、もう17年ですよ。
17年!
ICU入学までの人生と、ICU入学後の人生が、時間の長さ的にはほぼ同じなんだっていう事実が個人的にはちょっと信じがたい。
ICU入学までの人生の方が長く感じるんだけど、それは幼少期から高校生まで、生物としてわかりやすく成長していたからかな(身長伸びたりとか、物理的に)。
歳を取ると時の流れを早く感じるようになる、と言うけど、ぶっちーはどうですか?
俺は確かに、そう言われるとそんな気がするような。

さて、話は変わるけど実は今、インドにいます。

インドのシリコンバレーこと、バンガロールに来ています。
アメリカ人の上司と、チームメンバーである台湾人の女の子と一緒に、今の仕事では初めての海外出張。
経費じゃないと泊まれない5つ星ホテルの部屋で、キンキンに冷えた缶のコーラを飲みながら今この文章を書いています。

日本国外に脱出するのが、2019年8月にスリランカとマレーシアに行って以来、実に2年8ヶ月ぶり。
こんなに長く日本から一歩も外に出なかったのっていつ以来だろう、と考えてみたけど、もしかすると14歳の頃にアメリカで暮らして以降、最長記録かもしれない。
出国前にPCR検査も受けて、満を持してインドに来たものの、インド人は全然マスクしてないし、消毒ジェルもスプレーもありません。
インド人だけじゃなくて、街で見かける欧米人やアラブ人も、全然マスクしていません。
日本ではマスクが「エチケット」だけど、ここではマスクしてるとちょっと白い目で見られる雰囲気があるので、俺も堂々とマスクを外して、決して綺麗とは言えない空気を存分に味わっています。

海外に出るのが久しぶりだけど、それ以上に「16年ぶりのインド」のインパクトが強過ぎて、まあ書きたいことが山ほどあるんだけど、そのうち一部を書いてみるね。

バンガロールってGoogleで画像検索すると、ロサンゼルスのダウンタウンかと思うような近代的高層ビル群の写真が出てくるけど、実際は街の大部分が「インド」です。
物乞いは多いし、牛が歩いてるし、食べ物にはハエがたかってるし、リキシャの客引きがひっきりなしに来る。
「インドのシリコンバレーに行くぞ!」と意気込んでいた俺は、その「とは言えインド」な感じに面食らいました。
一方で、街の中心部は確かに超近代的で、俺の職場のインドオフィスもその一角にあるビルの高層階にある。
オフィスの内装とか雰囲気は、溜池山王にある日本オフィスとほぼ同じで、皆が俺と同じPCで俺と同じシステムをいじってる。
マクドナルドが世界のどこに行ってもマクドナルドであるように、グローバル企業は世界のどこに行ってもグローバル企業なのだな、と感じたよ。
「何かつまらないな」と「見慣れた光景で安心」の両方が入り混じった、アンビバレントな感情を抱きました。

で、一体何しにインドに来たかと言うと、以前ちょっと書いたけどインドの映像分析チームと一緒に複数のプロジェクトをやっていて、でも日本のチームとの連携があまりうまくいってなくて、結構問題になってるのね。
何とか改善しようとオンラインで色々やり取りしてたんだけど、なかなか埒があかないから「こりゃ会った方が早いわ」となって、上司とチームメンバーも巻き添えにしてインド来ちゃったわけです。

インドチームの人たちとは昨日会ったばかりだけど、皆スマートかつ穏やかな感じの人たちで、とりあえず一安心。
インドは北と南で随分違うと言うけど、スリランカにも近いバンガロールはかなり「南」な感じで、俺が16年前に北部のデリーやヴァラナシで見たような「唾を飛ばしながら怒涛の勢いでまくし立てるおじさん」とかはあまりいない。
いや、本当はいるのかもしれないけど、今のところそういう人には会っていない。
リキシャの客引きもどこかゆるゆるで、こっちが「乗らない」と言ったら強引に乗せるようなことはせず(16年前のデリーでは半強制的に乗せられて、宝石屋に連れて行かれたことも)、すぐに諦めて日本のマンガの話を始めたりする。

リキシャ「俺、AKIRAのファンなんだ」
俺「AKIRAってお前、古いな!」

みたいな。

スリランカほどチルでメロウな感じはないけど、ぶっちーも好きなんじゃないかな、バンガロール。
都市部を少し離れたら広大な国立公園とかもあるらしく、大都会と大自然が共存している感じも良い。
ちなみに、めっちゃ暑いのかなと思ってたら意外と涼しくて、夜は上着一枚羽織っても肌寒いくらい。
でも、昼間のピーク時は気温38度くらいまで上がって、湿度こそ高くないものの汗ダクダクです。

さて、昨夜はインドチームの人たちが近所のレストランに連れてってくれたんだけど、一体どんなおもてなしをしてくれるのかと思ったら、これがめっちゃ大衆的なローカル食堂でね。笑
アメリカ人の上司と台湾人の女の子はちょっと困惑気味だったけど、マレーシアでそれこそ南インドの人たちがやってる食堂に通い詰めていた俺、俄然テンション上がったよね。

俺「おお、ロティチャナイ!マレーシアでよく食べてたよ!これインドにもあるんだ!」
インドチーム「いやいや、これインド料理だから。ここ本場だから」

みたいな。
ちなみに、街の中心部には日本食レストランも結構多くて、”KABUKI”やら”SPICY NINJA”やら、よくわからない店名の看板が散見されます。

昨日はロティチャナイを食べながら、インドチームの人たちと色々話したんだけど、そのうち1人がスリランカ出身の女の子だったのね。
「俺、スリランカでアーユルヴェーダ受けたことあるよ」って言ったら、何と彼女、アーユルヴェーダの医師資格を持っていると言うではないですか。
「え?なんでアーユルヴェーダの医師がこんなところで、こんなめっちゃデジタルな仕事してるの?」って訊いたら、この仕事は十分な生活費を稼ぐためのライスワークで、それとは別に毎年夏、1ヶ月くらいスリランカに帰って医師として働いてるんだって。
彼女曰く、グローバル企業のデータアナリストという超デジタルな仕事と、アーユルヴェーダの医師という超アナログな仕事を両方やることで、自分の中でのバランスをうまく取っているのだとか。
ちなみに彼女が毎年夏に診ている「患者」の半分は日本人で、残り半分はドイツ人だそうです。

アーユルヴェーダといえば俺、スリランカで1週間泊まり込みでトリートメントを受けた時、ちょっとした不思議体験があったのよ。
これはまだ誰にも話したことがないんだけど、せっかくなので今ここで書いてみるね。

シロダーラっていう、仰向けになって額にオイルをポタポタ垂らしてもらう施術、あるじゃない?
よく、あれをやると幻覚が見えるとか、忘れていていた過去の記憶を思い出すとか言うけど、俺にもあったのよ。
頭がオイルまみれになって意識が朦朧としてきたタイミングで突然、脳内に映像が浮かび上がってきたの。

どんな映像かというと、目の前に綺麗な海があって、空は雲ひとつない快晴で、俺は水平線のあたりをぼーっと眺めている。
かと思ったら、次の瞬間、今度は自分が空になったような感じで、砂浜に座っている自分を上から見下ろしていたのね。
周りには誰もいなくて、真っ白な砂浜に一人、俺がポツンと座っている。
その俺は今の自分じゃなくて、小学生くらいの頃の俺か、あるいは高校生くらいの頃だったかもしれないんだけど、とにかく過去の自分が一人、砂浜にポツンと座っている。
どうやら俺がいるのは島で、グルッと一周してもせいぜい200メートルくらいかなという小さな島の周りを、エメラルドグリーンの海が囲んでいる。
俺は何をするでもなく、ただ膝を抱えて座っていて、じっと水平線のあたりをぼーっと眺めている。

で、次の瞬間、突然激しい雨が降り出して、雷が鳴って、大波が小さな島を飲み込んでしまいそうなくらい迫ってきた。

でも、俺はじっと座ったまま動かない。
やがて波が俺の足元まで迫ってきて、そして俺の体を覆い尽くして、波が引いたら俺の姿はなくなっていた。
小学生だか高校生だかの俺は波にさらわれてしまい、やがて島もさらわれてしまい、辺り一面が海になってしまった。

で、しばらくするとまた視点が切り替わり、今度は水中の魚になったような視点で、水面に浮かぶ俺の体を見上げていた。
見えるのは俺の背中と後頭部で、顔は見えない。
俺は両手両足を大の字に広げていて、泳ごうともせず、ただ水面にゆらゆらと浮かんでいて、まるで死体のようだった。
いや、もしかしたら死んでいたのかもしれない。
とにかく、そんな状態の俺を魚の視点で眺めている、という時間が30秒くらい続いた。

で、30秒くらい経った頃、また場面がパッと切り替わり、俺は宇宙に浮かぶ「スターチャイルド」になっていた。

スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』観たことある?
映画のラストシーン、主人公であるボウマン宇宙船長が「スターチャイルド」になって宇宙から地球を眺めている場面で終わるんだけど、そんな感じだった。
俺は広大な宇宙にフワフワ浮かんで、目の前にある青い地球を眺めていた。



で、しばらく地球を眺めた後、突然画面が真っ暗になって、それから少しずつ視覚が戻ってきて、目の前にシロダーラ施術者のおじさんの顔が見えた。

施術が終わった後、おじさんに「なんか、変な映像が見えたんですけど」って言ったら、おじさんは「ああ、よくあることだよ」と言って、特に気にする様子もなく部屋の後片付けをしていた。
そんなもんかなあ、と思いながらシャワーを浴びて、服を着て、ランチを食べて、午後はのんびりしようと思ってホテルのプールサイドで文庫本を開いたら、その1ページ目にこう書いてあったのよ。

「神はスターチャイルドに告げた」

あまりに衝撃的で、その後に続く内容は忘れちゃったんだけど、この本、たまたまホテルに併設されている小さなライブラリの本棚から、タイトルだけ見て適当に選んだ一冊だったのね。
そのライブラリには、英語だけじゃなくて日本語やドイツ語の本もあって、本棚を眺めているだけで結構楽しかったんだけど、なんかSFっぽい本が読みたいな、と思ったのよ。
SFって普段はあまり読まないんだけど、スリランカの海沿いのアーユルヴェーダリゾートというちょっと浮世離れした場所にいたこともあるし、『2001年宇宙の旅』の原作を書いたアーサー・C・クラークはスリランカに移住してこの作品を書いたという事実を知って「へえー」と思ったこともあると思う。
で、肝心のタイトルは忘れちゃったんだけど、なんか面白そうだなと思って部屋に持ち帰った本をいざ開いたら、いきなりスターチャイルドが出てきて身体に電撃が走った。

これはシンクロニシティなのか?
あるいは神のお告げか?

そんなことを思いながら本を読み進めてみたら、内容はあんまり面白くなくて、20ページくらい読んだところで眠くなり、そのまま寝落ちしちゃった。
で、再び長い夢を観るのだけれど、その話を始めるとまた長くなるので、今日はここまでにしておくね。

ふう。

話をインドに戻すと、今夜はバンガロールで一番美味しいと評判の日本料理屋、その名も「HARU ICHIBAN」に行く予定です。
そう言えば、今住んでいる家の近所に「インド人が本気で作ったライスカレー」というキャッチコピーを掲げたカレー屋さんがあって、前に一度行ってみたらなかなか美味しかったな。
この記事書いてたらカレー食べたい気分になってきたし、今夜行こうかな。
あ、ダメだ、今夜はワイフがシチューを作ると今朝言ってたんだった。

ハッピーエイプリルフール!

2022.04.01
はるお